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3-2 美和の目論見 2

last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-20 11:06:43

「……初めまして。今ご紹介にあずかりました九条琢磨です」

琢磨は頭を下げた。

(くそ……っ! 一体これは何の罰ゲームなんだ!? 何が悲しくてこんな見合いのような真似をさせられているんだ!?)

「私は二階堂明で静香の夫です。初めまして」

二階堂は笑みを浮かべながら美和に挨拶をするが、それすら琢磨を苛立たせた。

(先輩め……高みの見物でもするつもりでわざわざやって来たに違いない……!)

「それで、早速なんだけど美和の子供のDNA検査を……」

静香が言いかけると、突如美和が頭を下げてきた。

「ごめんなさい!」

「え……? どうしたの? 美和」

静香だけでなく、琢磨も二階堂も首を傾げる。

「私の産んだ子供……父親は九条さんではありません。当時交際していた……元カレとの……子供……なんです……」

美和の言葉は最後の方はしりすぼみになってしまった。

「え……? そ、その話は本当なのか!?」

琢磨は思わず、大きな声を上げてしまった。

「はい。そうです……。すみませんでした」

美和は素直に謝る。

「ねえ、美和。なぜ九条さんが父親みたいな言い方をしたの?」

静香は美和に尋ねた。

「そ、それは……当時付き合っていた男は……そ、その……無職で私の紐みたいな男だったから……。周囲にそんな男を相手にしていたと思われたくなくて……」

「それで、たまたま2次会で泥酔した九条をホテルに連れ込んで、既成事実を作ろうとしたのか?」

二階堂が尋ねると、美和は頷いた。

「はい、そうです。だけど、ホテルへ連れて行っても貴方は一度も目を覚まさなくて……。でも裸でベッドに入っていたら、目が覚めた時に勘違いしてくれるんじゃないかと思って……」

「そ、それで……眠っている俺の服を……勝手に脱がした……のか?」

琢磨の質問に少しだけ美和は頬を染めて頷く。それを聞いた琢磨は開いた口が塞がらなかった。

(な、なんて女だ……! これだから肉食系女は嫌なんだ!)

そんな琢磨の怒りに美和は全く気付かない。

「あの、九条さん。ここへ来てくれたってことは……私と子供の面倒を見てくれる覚悟があったってことですよね?」

「「「え……?」」」

3人は美和を見つめた。

「娘は私と九条さんとの間にできた子供では無いけれど、ここで知り合ったのも何かのご縁だと思うんですよ。なので私と正式にお付き合いしていただけませんか? これも何かの運命だと
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